ダイエットでの話題になると「代謝を上げましょう」というフレーズが必ずでてきます。確かに代謝を上げることはダイエットにはとても重要なことですが、何をするのが良いのか色々な情報が飛び交っています。
そんな中、私が重要だと考える代謝を上げるポイントは次の3つです。
- 運動は有酸素運動より筋トレやHIITをやる
- タンパク質(肉・魚・卵・豆腐など)、野菜、水分の3つを十分に摂るように心掛ける
- 汗に騙されない。暑いより寒い環境の方が代謝は上がる
その理由をこの記事では説明しています。
そもそも代謝とは?
代謝というのは英語でmetabolism(メタボリズム)といいます。この言葉の響き、なんだかメタボリック症候群に似ていますね。
実はメタボリック症候群は直訳すると代謝症候群となります。とはいえ、意味的には代謝異常症候群という方が正しくて、脂肪の蓄積や悪い生活習慣によって代謝に異常が起こり、結果として動脈硬化や糖尿病などになりやすい状態になっていることです。
話が逸れましたね。代謝の辞書的な意味は次のようになります。
「生命維持活動に必須なエネルギーの獲得や成長に必要な有機材料を合成するために生体内で起こる全ての生化学反応の総称」
もう少し簡単に書くと、体を動かしたり体温を維持したり傷を修復したりといった、生きるための体の営み全般のことです。
代謝を3つに分類するとわかりやすい
代謝には色々な分類方法があるのですが、ダイエットに取り組むときの便利なのは次の3つに分類する方法です。
- 基礎代謝(60〜70%)
生命活動維持のために消費されるエネルギー - 生活活動代謝(20〜30%)
仕事や日常生活で体を動かすことによる消費エネルギー - 食事誘導性熱生産(10〜20%)
消化活動による消費エネルギー
この3つを如何にして大きくしていくかがダイエットでは大切になってきます。
運動による代謝アップには筋トレがイチオシ
ダイエットのための運動となると筋トレがイチオシです。ここではその理由を代謝と絡めて説明していきますね。
エネルギー消費を増やすというと真っ先に思いつくのが運動ですが、運動の効果は何をやるかで次の2つに分かれます。
- 基礎代謝を上げることが主の運動
- 生活活動代謝を上げることが主の運動
ここでいう基礎代謝が上がるというのは
- 体の回復・補強のためにエネルギーを消費する量が増える
- 筋肉量が増えるために基礎代謝が上がる
という効果のことです。
ダイエットというと低強度の有酸素運動というイメージが強いですが、低強度だと体の疲労も筋肉への刺激も少ないため基礎代謝を上げる効果が乏しく、エネルギー消費のみとなってしまいます。しかも実際のエネルギーの消費量はとても少ないです。
一方、高強度の筋トレはエネルギーの消費量自体は少ないですが、筋肉が増える(または減少食い止める)ことで長期的に見た代謝アップに貢献します。また、運動時間も短時間で済むので時間効率もよいです。
また、筋肉がしっかりつくことは体のラインを整えたり、高齢になってもシャキシャキ動ける体の土台になるので良いことしかありません。
だからダイエットを目的とする運動は筋トレがイチオシなのです。
筋トレと並んでもう一つオススメの運動としてHIIT(高強度インターバル)というものがあります。これは要は短時間のキツイ運動(坂道ダッシュなど)を休みを挟んで何回かするというものです。
筋力・有酸素能力の向上やEPOCといって体が回復するときに消費するエネルギーを増やす働きがありダイエットにはオススメなのですが…
とにかくキツイので、できる人とできない人に分かれます。
運動経験がほとんどない、ケガがある、高齢、生活習慣病になりかけている…といった方にはオススメできません。
食事による代謝アップはタンパク質と野菜
食事による代謝アップのキモはタンパク質と野菜と水です。なぜこの3つなのかをこれから説明していきます。
プロテインはダイエットで最重要栄養素
ネットやテレビでは代謝を上げる食べ物・サプリとして色々なものが取り上げられていますが、科学的に著しい効果があると証明されているものはほとんどありません。その中で、確実に代謝を上げられることが分かっているのは高タンパク質の食事です。
タンパク質を消化するには糖質や脂質の5倍程度のエネルギーが必要となります。つまり、肉や卵、豆腐などは白米と同じ量を食べても実質的なカロリーは少なくなるということを意味します。
さらに消化が大変ということは腹持ちがいいとも言えます。
ダイエット中の満足感を高めてくれる食べ物としても、また代謝を上げる食べ物としてもタンパク質は優秀です。ダイエットするならとにかくタンパク質を食べることを意識してください。
野菜が大切なわけ
次に代謝を上げる栄養として重要なのはビタミン・ミネラルです。こういった微量栄養素は体内のさまざまな代謝を補助する役割があり、不足するとスムーズに代謝が進まなくなります。
そして、ビタミン・ミネラルが豊富な食べ物といえばもうおわかりですよね。野菜です。
もう少し詳しく書くと、野菜・海藻・キノコ類、果物です。
ダイエット中はタンパク質と一緒にたくさんの野菜を食べるようにしましょう。どうしても不足するならビタミン剤を飲むのもありですが、まずは野菜を食べる量を増やすことを頑張ってください。
なぜかというと食物繊維が豊富だからです。食物繊維は腸内環境の改善に繋がるのでダイエットにもモチロンよい影響を与えます。
ちなみに、野菜ジュースやフルーツジュースはNGです。これらは普通のジュースと同じだと考えましょう。できるだけ加工度が低いものを選ぶことが大切です。
水は体にタップリ必要
「え?水?」
と思うかもしれませんが、体内の代謝をスムーズに行うために水は欠かせません。ほぼ全ての体内の化学反応は水の中で行われますからね。
さらに、水が不足すると血液や体液の循環も悪くなります。
ここが大事な点なのですが、ダイエット中は食べる量が減るのでそれに伴って水分も不足しがちになります。多くの食べ物は60〜70%ぐらい水分ですからね。
そのため、ダイエット中は意識的に水分を多く飲むようにすることが代謝アップに重要になってくるのです。
他の栄養素は?
食べ物の栄養は三大栄養素に分けられますが、脂質と糖質はでてきませんでした。この2つは代謝アップという視点では優先度が低くなります。
とはいえ、脂質は細胞膜やホルモンの材料にもなるので良質なものをほどほどに摂取する必要があります。極端な脂質制限はNGです。
糖質はエネルギーにしかならないので、ダイエット中の優先度はとても低いです。タンパク質、野菜を十分に食べた後にオマケで食べる程度にしておくことがオススメです。
汗をかく=代謝アップの誤解
ダイエットの基本は食事と運動です。その2つで代謝アップのポイントを説明しましたが、それとは別にもう一つどうしても言っておきたいことがあります。
なぜか汗をかく=代謝アップと思う人が多いです。ホットヨガやサウナ、岩盤浴など暑い環境に身をおくというのがその典型ですね。
実はこれは全く逆で、外気温が32度以上になると体の基礎代謝は最低に落ち込みます。なぜなら体温が上がりすぎて生命の危機になるからです。エネルギー消費を上げるどころではありません。
汗は単なる体温調節であって代謝と関係づけるのは間違いです。
体がポカポカするのは外気温で温められたからであって、代謝が上がってポカポカしているのではありません。脂肪はまったく消費されていないでしょう。
サウナなどは気持ちよさなどメンタル的な意義が無いこともないので否定はしませんが、代謝アップを目的とするなら的外れです。
厚着したり暑い環境で頑張って汗を掻くことは、代謝アップやダイエットにはメリットは何もない、ということをよく覚えておいてください。
ちなみに代謝アップに良い環境はというと、暑いの逆で寒い環境に身を置くことです。寒いとイヤでも代謝を上げなければなりませんからね。
寒いのが嫌なら褐色脂肪細胞が多い場所(脇や背中)を冷やすだけでも代謝が上がるという研究結果もあったりします。
ただ、あまり低温の環境に長時間も体が冷えすぎて良くないのでほどほどに。
人間の体温は36℃程度ですが、気温が20℃(体温より16℃低い)ぐらいでも普通に生活できます。一方、体温より16℃高い状況(52℃)を想像してください。とてもじゃないですが普通に生活できないですよね。気温が体温を超えた時点でかなりツラいです。
このように人は低温には熱産生を上げて(=代謝を上げて)対応できる幅が大きいですが高温に対する適応幅は狭いのです。氷河期を乗り越えてきたからですかね。
まとめ
さて、代謝の話はいかがだったでしょうか?ダイエットをする人が押さえておいて欲しいポイントは次の3つです。
- 運動は筋トレやHIITのようなキツイものの方がよい
- タンパク質(肉・魚・卵・豆腐など)、野菜、水分の3つを十分に摂るように心掛ける
- 汗に騙されない。暑いより寒い環境の方が代謝は上がる
これらを押さえて、ダイエットに取り組むようにしてください。
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